- HOME
- 松の剪定のポイント
![](img/down1.jpg)
松の剪定は難しい、と感じておられる方が多いようです。 確かに刈り込みばさみで大胆に切る訳にはいきませんが、 やってみるとそんなに難しいものではありません。
私も剪定を教わって、いつの間にか10年が経とうとしています。 最初は当然ど素人だった訳ですが、形も大崩せず無事にここまでやってこれました。
松の剪定には、幾つかポイントがあります。 それさえ押さえておけば、大失敗はしないで済みます。 このページでは、そうした気を付けるべきポイントを取り上げてみたいと思います。
服装と道具
服装
服装については、松専用の作業着を用意しましょう。 松を切ると松脂が出て、服にくっつくと洗濯しても落ちません。
地下足袋は本格的に業務として携わるのでなければ無理に買う必要は無いです。 ただハシゴに上るので、滑りやすい靴や安定性の悪い靴はやめましょう。
手袋は、指先で細かい作業ができるものがベストです。 手術の時などに使うゴムのピッタリした手袋を私の師匠は使っていました。 私は慣れてしまったので軍手を使っていますが、指先がゴワゴワするのでお勧めはしません。
道具
道具としては、剪定バサミ、枝切用のハサミ、のこぎりぐらいでしょうか。 剪定バサミをベルトで腰に付けられる皮サックがあると、はしごの上での効率が上がります。
剪定バサミはある程度品質の良いものを買ったほうがいいと思います。 因みに私が使っている剪定バサミは岡恒のNo.221です
剪定作業の基本
ではいよいよ剪定のポイントについて掲載してみたいと思います。 剪定は春(芽摘み)と秋がありますが、 最初に秋の剪定について述べたいと思います。
- Y字型に枝を残していく
- 20~30枚ほど葉を残してむしり取る
- 勢いの良い枝は極力切り落とす
- 葉を切らない
Y字型に残す
![](img/Yji.jpg)
松の剪定は、不要な芽(枝)をハサミで切り落とし、葉を20~30枚残してつまみ取っていきます。 この時枝がY字型になるように切っていきます(図)。この時、勢いの良い長い枝は極力残さないようにします。
![](img/cutting1.png)
枝の分岐点のうち真ん中の枝が最も元気が良く、まっすぐ伸びます。それを落とすと、Y字型になります。
松は直線の枝があると格好が悪くなります。どうしても残さざるを得ない時は、 芽を出したい部分の葉っぱをむしらずに残しておきます。
葉を切らない
![葉を切ってしまう](img/cut88.jpg)
また芽をを切る時に、葉も一緒に切ってしまわないよう注意します(図)。 葉を切るとあとでむしり難くなりますし、残しておくと格好が悪くなります。
ハサミは閉じたまま持って行き、目的の芽だけ切り落とすようにしてください。
このようにして枝が重ならないよう、直線的な枝を残さないよう気を付けながら剪定していきます。
剪定の順番
次に、剪定の順番について書いておきます。
- 上から下へ
- 奥から手前へ
![剪定の順番](img/jun.jpg)
上から下へ
芽を切ったり葉をむしったりしたものは、当然ながら下に落ちます。 もし下から先に仕上げていると、そこに切り落とした枝やむしった葉が落ちて貯まったり枝を傷つけたりしてしまいます。
奥から手前へ
剪定は奥から手前に向けて行います。 先に手前を仕上げ、その後奥をすると、 手前の枝に腕や体が当たって折れ曲がったりします。
![下から手を回す](img/arm.jpg)
ついでに、葉をむしる時の注意点についても述べておきたいと思います。 葉をむしる時は、極力枝の下から手を回すようにします。 枝の上から手を回すと、やはり手前の枝を傷めてしまうからです(図)。
勿論いつも下から手を回せる訳ではありません。枝が複雑に重なり合っていたりすることもあるからです。 ですから、なるべく枝葉を傷めないためにも奥から手前に向けて剪定することを心掛けましょう。
3方向から見る
松を切る時は、3方向から確認しつつ、残す枝を確定していきます。
- 上から、枝の向きを確認する
- 下から、枝の重なりを確認する
- 遠くから、全体のバランスを確認する
上から枝の向きを確認する
松を剪定する場合、普通は上から眺めると思います。 そうしてどの枝を残せばY字型になるか考えていきます。 上から見ると目標物が近いので、細かい選別を行うのに適しています。
下から枝の重なりを確認する
枝の重なりは上からでも見えますが、葉が茂っている状態では見えません。 枝の重なり具合は下から確認するのが適しています。
もし下からみて芽が重なっていると思ったなら、どれか落として空かしてあげます。
枝が重なっているなら、上の枝を落とします。そうすればマッシュルーム型になって形もいいですし、 下の枝まで日光が差し込むようになります。
遠くから全体のバランスを確認する
近くで見るだけでは、全体のバランスがわかりません。 時々遠くから眺めてあげましょう。飛び出している枝が見つかったりします。
全体のバランスは、切る前に見るよう心掛けます。 切った後で凸凹になっているのに気付いても、修正不可能なことが多々あるからです。
春の芽摘み
春には松の芽を摘む作業を行うこともあります(緑摘みとも呼ばれます)。 長い芽は、秋にまっすぐな長い枝になります。 それで長い芽を先に摘んでおけば、秋の剪定が楽になり、 またきれいに剪定できます。
![](img/metumi1.jpg)
大抵の場合1箇所から数本の芽が出ているので、長い芽は根元から折り取り、短い芽だけ残しておきます。
もし長い芽1本しか出ていないなら、下から3分の1位の所で折っておきます。
![](img/metumi2.jpg)
また花芽のようなものが付いているので、これも取り除いておきます。
秋に剪定をしていれば、特に葉をむしる必要はないでしょう。 しかし秋に手入れをしていないのであれば、古葉を取り除いておきます。
まとめ
松は色々な角度から眺めつつ切り落とす枝を決定していきます。 上からだけ見てすれば早いですが、綺麗にできるとは限りません。 じっくり眺めてから切るのが、松の剪定の一番のポイントと言えるでしょう。
また、まっすぐな枝を残さないのも綺麗に見せるポイントでした。 勿論枝を伸ばしたい場合は、元気のいい直線的な枝を生かしておきます。 それ以外はY字型になるように切っていけば、それなりに綺麗になります。
ではこのページに挙げたポイントを踏まえて、是非実際に剪定に当たってみてください。 最初は切り過ぎないよう、枝を多く残すと良いと思います。 経験を積むにつれて、より落とせる枝が増えてくると思います。
なお「このページを参考にして剪定したら松が枯れた」と言われても責任は負えません。 あくまで自己責任で宜しくお願いします。